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弁護士コラム

「訴訟費用」について(弁護士 本田千尋のコラム)

「訴訟費用は被告の負担とする」という言葉は訴状には必ず載っています。答弁書には「訴訟費用は原告の負担とする」という言葉が必ず入っています。

訴訟費用の裁判は、裁判所が職権で行います(民事訴訟法67条)。原則として敗訴当事者が負担します(民事訴訟法61条)が、一部敗訴の場合は、裁判所が裁量で決めます(民事訴訟法64条)。

このように、裁判所の裁量に委ねられている事項ですので、「訴訟費用は被告の(ないし原告の)負担とするとの判決を求める」というのは、そのような職権発動を期待します、という程度の意味合いです。

では、この「訴訟費用」とはどのような費用をいうのでしょうか。弁護士費用は含まれるのでしょうか。

訴訟費用に何が含まれるのかについては、「民事訴訟費用等に関する法律」に記載があります。代表的なものとしては訴訟提起の際に納める印紙代、郵便切手、が挙げられます。その他、鑑定を行ったときの鑑定料、鑑定人に証人として来てもらったときの交通費や日当などが挙げられます。

弁護士の費用は「訴訟費用」には含まれません。そのため、「訴訟費用は被告の負担とする」という裁判が出た場合でも、被告側が原告側の弁護士費用を負担することはありません(なお、例えば不法行為に基づく損害賠償請求で、弁護士費用を請求することがありますが、それは「損害」の請求として行うものです。)

訴訟費用に関して、最高裁の決定をご紹介します(最高裁平成26年11月27日小法廷決定、民集68巻9号1486頁)。

本件で問題となったのは、直送費用です。例えば、原告代理人が、準備書面を提出するときに、裁判所に提出するのと同時に、相手方(被告)代理人にも送ります(裁判所を通さずに、相手方代理人へ「直に」送るので、「直送」と呼ばれているのです)。ずいぶん以前は、原告代理人は裁判所に対して準備書面を2通提出し、うち1通を裁判所用とし、1通を裁判所が被告代理人に送付していたそうですが、現在は、「当事者は、準備書面について(中略)直送をしなければならない」(民事訴訟規則83条)と規定されています。

ちなみに、直送方法は、ファックスで送る、郵送する、事務所に持参するという方法があります。多くの場合はファックスで送ることが多いですが、分量が多い場合は郵送します(分量が多く、かつ事務所が近い場合は持参の方法もあります)。

本件訴訟では、郵便で送った場合、その郵便料金を訴訟費用として請求できるのか、ということが論点となりました。

この点について、最高裁は、「当事者が準備書面の直送をするためにした支出については、費用法2条2号の規定は類推適用されない」とし、直送するために行う費用(郵便料金など)は訴訟費用に含まれないとしました。

理由としては、①直送のための支出は当事者が予納義務を負担していない。②費用法は費用となるべきものを個別に定型的、画一的に定めているところ、直送は、多様な方法によることが可能であって、定型的な支出が想定されるものではないことを挙げています。

もっとも、例えば、一方当事者に弁護士が付いていない当事者訴訟の場合に、準備書面を裁判所書記官が送付することがありますが、この送付は当事者が予納した費用で行われますので、その費用は、訴訟費用として請求することができます。