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弁護士コラム

新人弁護士の奮闘記――その1“名寄帳”(弁護士 塚井一将のコラム)

弁護士 塚井 一将

  当事務所は「会社法に強い」がうたい文句ですが、今取り扱っている業務では、私は意外と会社法は使っていません(上司の芝原弁護士はこまめに会社法の条文を引いていますが。)。

 最近多いのは相続関係です。

 「おやじが故郷で土地を持っているらしいんです」。

 とある相続放棄の依頼で、遺産調査をしている中で発覚した事実。「おやじ」さんは、とある業者に土地を貸して使用料を得ていたようで、課税標準額が30万円未満なのか、課税通知も届いていませんでした。依頼者は大阪在住で詳しい状況は分からず、弁護士が関与する相続放棄手続である以上は、遺産の不動産につき無視するわけにもいきません。はて、どうやって調査していけばよいものか・・・。

 上司にアドバイスをもらいつつ、まずは土地を借りていたとされる業者に問合せの書面を送ってみました。数日後、その業者から、「いきなり何ですか。うちでは正確な地番までは情報を管理していませんよ。そもそも市役所に課税関係を問い合わせたんですか。」。業者の方は、突然弁護士から書面を送られて、気分を悪くされたようでした。

 それはいいとして、〔市役所か・・・その発想は無かったな。〕と私は思い、「おやじ」さんの故郷の市役所の課税課に電話で問い合わせました。すると、「名寄帳(課税台帳とも)というものがあります。これは、その市で課税される財産があれば、その市内に住民票を置いていなくても発行できます。」とのこと。「やった!」と思い、必要書類を教えてもらってさっそく取り寄せてみると、欲しかった不動産の情報(地番や面積など)を取得することに成功しました。

 こうして、必要書類を完成させ、無事、相続放棄が認められたのでした。

 以上のように、私にとっても今まで知りもしなかった「名寄帳」という新たな書面の存在を知り、弁護士としての引出しを1つ増やしたのでした。